登山隊公式報告(5)

2001/4/27

1)隊の状況 4月21日〜4月27日

 BCでの休養を終えいよいよ7,000m台への高所順応を目指して行動を開始す る。今回は初めてBCからC1を通過しC2入りを目指す。

 4月23日朝4時40分BC出発。アイスフォールの状態が安定している早朝に危 険地帯を通過するためだ。でもヘッドランプの明りで出発準備するのは辛い。夜自分 の呼吸した息の中の水蒸気がテントの内側に霜となって付着しており動くたびに落ち てきて顔や首筋に入ってくる。凍えた手でカラビナの架け替えや梯子を渡るのも辛い。一番危険なアイスフォー ルの核心部を越える頃朝日がさしはじめる。

 C1を越えるとクレバスがところどころあるもののゆったりとした長いのぼりに かかる。疲れも次第に蓄積されてくる。隊員間でも疲れからわがままも出てくる。歩行スピードが速いの遅いの、休みを取るの取らないのつまらない争いも出てくる。そ うこうしているうちにようやくC2に到着する。12時間の行動で5,350mのB Cから6,450mのC2にたどり着く。

 4月24日は休養日。

 4月25日風は強いがC3へ向けて足慣らしに出かける。C2から上はC1とC2 の間の傾斜を少し強くした雪原が続きローツェフェースに突き当たる。朝から小雪混 じりの風(ブリザード状態)でもありローツェフェースには取り付かずC2に戻るこ とにする。初めての高度でもありしんどい。

 4月26日、C3入りすべく6時50分出発。朝、川田の胃腸の調子が悪くBCに下山することになる。昨夜のカレーライスが辛すぎたとの事だがどうだか、高度の影 響か風邪かも知れない。いづれにせよ5人しかいない隊員が1人減るのは辛い。4人 でC3へ向かうことになる。

 緩やかな登りを昨日到達したローツェフェースの基部(6,800m)まで進む。 ここからは氷壁登りとなる。ユマールに全体重をかけ自分を持ち上げ一歩一歩垂直に 登攀する。20mほど登ったところで突然間瀬が宙に浮いてフィックスロープにぶら 下がる。高度障害による呼吸と一気に登攀した体力の消耗のバランスが突然くずれ体 の平衡感覚を維持できなくなったようだ。このまま進むのは危険と判断し間瀬にはC 2に戻ってもらうことにする。氷壁の中で下山の準備をするのも大変。サーダーがす ばらしいテクニックと体力で安全に下山できるようエイト環(下降機)をセットす る。ローツェフェースは蒼氷そのものだ。特に今年は降雨量が少なく雪面が少なく氷壁になっているようだ。アイゼンのツメはわずかしかくい込まず自分の体重を支える には不安定だ。不安定な足を支えるために余計体力を消耗する。さらに200m程 登ったあたりから河野の登攀スピードが急激に落ちてくる。本人も限界と感じC2戻 りを申し出る。ついに2人のみでC3に向かって進むことになる。

 天候も良いしC3入りするには絶好のチャンスだが登攀のスピードが一向に上がら ない。もう200m程上がったところで和田が不調を訴える。C3まで今のスピード でまだ2時間はかかるだろう。C3に既に張られているテントが頭上に見える。その上にはローツェのピークが聳え立つ。61歳の今成隊長のみが何とか進めそうだが1人でのC3入りも好ましくない。相談の結果全員C2戻りとする。荷揚げとC3建設 のため登ってくるシェルパも残念そうだ。高度約7,000mで退散。C3入りは一 時お預けとなった。

 高所順応、氷壁での登攀テクニック、垂直に近い氷壁を登る体力など50歳、60 歳台のメンバーにおおきな課題を残してC3入りチャレンジは終わった。

 翌4月27日、C2からBCに4人が下山し、先に下山している川田、BCマネ ジャーとも合流し久しぶりに全員顔がそろう。  ローツェフェースの登攀とサウスコルからピークまでの登攀には体力回復が一番とのサーダーのアドバイスもあり4月28日にはパンボチェへ向けてBCよりさらに低 い村へ休養に出発する。

 

2)隊員の現在の状況   今回は隊員自身の言葉で表現しました。

@登山隊員

今成隊長 ホント、エヴェレストにいます。 26日に7,000mまでやっと手を延ばしました。ユマールで。 あと2,000mは休養してから考えることにします。
川田隊員 4/24、C2(6,400m)での夕食以降胃痛に苦しみ、 他の隊員より1日早く下山。ついに戦線離脱は残念無念なり。 27日現在徐々に回復の兆しあり。明日からのパンボチェでの 休養期間を利用し再起を図り、ラストチャンスに賭けたい。 HIIROメール有難う。ゆきたちにもよろしく。
河野隊員 4/27、本日C2からBCに予定より1日早く下りてきました。 23日にC2に上がり、25日にローツェフェースの取り付きまでいき、 26日にC3目指しローツェフェースに取り付きました。 鏡のようなツルツルの氷の壁でユマールを使い、何本ものロープが次々に張られていました。 7,000m手前で落石に合い服も破れ、体力の限界を感じ サーダーの手助けを得て、取り付きまで下り、C2に戻りました。 高度の影響は今のところひどくありません。
和田隊員 7,000mでの体力の限界を感じたのはショック。 休養して再チャレンジします。
間瀬隊員 第2キャンプは朝になるとテントの内側が雪でびっしりです。 私的なことですが麻美が編んでくれたマフラーは毎日首に巻いて寝ています。本日5日ぶりに1,000m下ってベースキャンプに下りてきました。 明日からさらに1,000m下ってパンボチェというところまで行きます。目的は最終段階に向けての休養です。 自分は高所順応が不十分なのでそのためにも リフレッシュしたいと思っています。


A BCマネージャー

福西隊員 元気に頑張っています。
森隊員 BC滞在も2週間となり、私(森)はこの高度に慣れ、 時間を持て余すほどになりました。 たまには元気に雪合戦などもします。
井形隊員 元気に頑張っています。シェルパやコックとも仲良くなりました。
尾崎隊員 元気に頑張っています。食料係もなれました。

なお、今回の現地写真はありません。

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